日々是書評

書評初心者ですが、宜しくお願いします ^^

現代小説

【妄信こそ貧困】下流の宴 - 林真理子

下流の宴posted with ヨメレバ林 真理子 文藝春秋 2013年01月04日頃 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー この小説では、2つの世界が交互に描かれる。 1つが「福原家」。自称、中流家庭。教育ママの由美子を中心にして、ちょっとズレたところがある人…

【あまりにもシンプルであまりにも薄味】私をくいとめて - 綿矢りさ

私をくいとめてposted with ヨメレバ綿矢りさ 朝日新聞出版 2020年02月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 読書家を名乗っている割に、自分が綿矢りさを初めて読んだのは2018年のこと。だいぶ遅い。 初めて手に取ったのが「勝手にふるえてろ」…

【公正を貫くということ】下町ロケット - 池井戸潤

下町ロケットposted with ヨメレバ池井戸 潤 小学館 2013年12月21日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 読書家を名乗っている割りに、自分は池井戸潤を読んだことがなかった。 もちろん、池井戸潤の名前は知っていたし、ドラマ化や映画化するほど人…

【旅、料理、異文化、人生の転機と幸福について】あなたは誰かの大切な人 - 原田マハ

あなたは、誰かの大切な人posted with ヨメレバ原田 マハ 講談社 2017年05月16日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 原田マハを読むのはこれで11冊目になる。けれど、短編を読むのはこれが初めて。 収録されたエピソードは6つ。それぞれ、人生の転…

【大切な人の死を織り込んでいく小説】美しい距離 - 山崎ナオコーラ

美しい距離posted with ヨメレバ山崎 ナオコーラ 文藝春秋 2020年01月04日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 山崎ナオコーラさんの著作を読むのはこれが初めて。もちろん、「人のセックスを笑うな」はあまりにも有名。作家として気にはなっていた…

【人生再出発の狭間で】スクラップ・アンド・ビルド - 羽田圭介

スクラップ・アンド・ビルドposted with ヨメレバ羽田 圭介 文藝春秋 2018年05月10日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー ツイッターで読書家の方にオススメされて読んでみた。 第153回芥川賞を受賞した作品とのことで。いざ読んでみると、芥川賞に…

【再会の短編集】ロング・ロング・アゴー - 重松清

ロング・ロング・アゴーposted with ヨメレバ重松清 新潮社 2012年07月 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 総評 読書家さんからオススメされた一冊。「再会」をテーマにした短編集とのことで、興味を惹かれた。 自分の選好として、短編集はあまり得…

【型破りなダークサスペンス】OUT(下)- 桐野夏生

Out(下)posted with ヨメレバ桐野夏生 講談社 2002年06月15日 楽天ブックスAmazonKindle レビュー 先の展開が気になるような、絶妙な終わり方をした上巻。対して、下巻では予想外な方向へと物語が進行する。 定形通りなら、物語の主眼は「犯行がバレるのか…

【緻密な陰惨描写にドハマリする】OUT(上)- 桐野夏生

Out(上)posted with ヨメレバ桐野夏生 講談社 2002年06月15日 楽天ブックスAmazonKindle レビュー 桐野夏生を読むのは「グロテスク」に続き、これで2作目。グロテスクが文句なしの傑作だったので、本作も大きな期待を持って読み始めた。 果たして、桐野夏…

【思考と快楽】デッドライン - 千葉雅也

デッドラインposted with ヨメレバ千葉 雅也 新潮社 2019年11月27日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle 総評 ところどころ、難解な小説だった。と感じるのは、自分に哲学の素養がないからかもしれない。 この小説は哲学を専攻するゲイの大学院生を主人公とす…

【泣けない女vsナチュラルクズ彼氏】かわいそうだね? - 綿矢りさ

レビュー 総括 表題作の「かわいそうだね?」について。 樹理絵は交際している彼氏がいる。その彼から突然、元カノを自分の家にしばらく泊めたいと打ち明けられる。元カノは仕事が無く、家賃が払えない状況。実家には「帰りたくない」と言う。そんな彼女を助…

【農業エンタメ】農ガール、農ライフ - 垣谷美雨

農ガール、農ライフposted with ヨメレバ垣谷美雨 祥伝社 2019年05月15日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 垣谷美雨さんの作品を読むのは何冊目になるんだろう。今回もご多分に漏れず、及第点を軽く超えてくる出来栄え。 社会問題に触れつつも良…

【正常は発狂】消滅世界 - 村田沙耶香

消滅世界posted with ヨメレバ村田 沙耶香 河出書房新社 2018年07月06日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 村田沙耶香を読むのはこれで二冊目。一冊目は言わずとしれた「コンビニ人間」 さて、消滅世界のあらすじはいたってシンプル。 「セックス…

【田園と再生の物語】生きるぼくら - 原田マハ

レビュー 原田マハさんの本はこれで三冊目。 「異邦人」で引き込まれて、「本日はお日柄もよく」そして「生きるぼくら」と読み進めてきた。 異邦人の文句なしの星5っぷりとは対照的に、生きるぼくらは文句なしに星3つ。決してつまらなくはないんだけど、無難…

【コールボーイ】娼年 - 石田衣良

娼年posted with ヨメレバ石田衣良 集英社 2004年05月 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 女性やセックスを退屈だと決めつけていた少年が、ぬるりと娼婦ならぬ娼年の仕事を始めるお話。 娼年の出会う客は変わった嗜好を持つ女性ばかりなんだけど、…

【芥川賞 書評】グランド・フィナーレ - 阿部和重

レビュー 初めて阿部和重を読んだ。有名どころから入りたくて、芥川賞を受賞したグランドフィナーレを読んでみた。 いやぁ、難しい。正直なところ、小説として面白いとは思えなかった。 けれど、解説込みでなんとか「そういうことなのかな」という納得感みた…

【映画化】十二人の死にたい子どもたち - 冲方丁

レビュー いやー、面白かった!平日の夜なのに読了したら午前3時。引き込まれて450ページを一気に読み切ってしまった。 物語のあらすじは、以下の通り。 いわゆる集団自殺のお話。ネットで知り合った12人の自殺希望者が集まるのだけど、会場には既に1人の死…

【芥川賞 問題作】コンビニ人間 - 村田沙耶香

レビュー この物語の主人公は36歳の女性。コンビニで18年間アルバイトをしている。 未婚で恋愛経験なし、それどころか自分を世の中の異物のようにずっと感じていた。それはひょっとしたら発達障害と診断されるようなものかもしれない。 そんな主人公が普通で…

【映画化】日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ - 森下典子

日日是好日posted with ヨメレバ森下典子 新潮社 2008年11月 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle レビュー 大学時代に茶室に通い始めた主人公の女性。 仕事、交際、父との離別。この本の中では主人公の過ごした20年間が描かれる。 だけど、その傍にはいつでも…

【芸術と情熱】楽園のカンヴァス - 原田マハ

レビュー とても面白くて一気に読んでしまった。 魅力的なキャラクターや、謎解きのような夢中になれるストーリー、そしてアートの歴史と世界。それら全てが、とても読みやすく落ち着いた原田マハの文筆力で展開される。それゃあ面白いに決まっている。 だけ…

【娼年その後】逝年 - 石田衣良

レビュー 前作である「娼年」では、女性用の風俗で働き始めた主人公にスポットライトが当たっていた。女性やセックスに対して淡白だった主人公は、仕事を通して多様な欲望の形に出会い、才能を開花させていく。 一方で今作「逝年」はその続編であり、フォー…

【日仏アート小説】たゆたえども沈まず - 原田マハ

レビュー 同じ美術小説として、どうしても「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」と比べてしまう。 これらは紛れもない傑作なのに、「たゆたえども沈まず」はどうしても霞んで見えてしまった。 どうして霞んで見えたのだろう。 おそらく、フィンセント・…

【アート小説の傑作】暗幕のゲルニカ - 原田マハ

暗幕のゲルニカ (新潮文庫)作者: 原田マハ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/06/28メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキ…

【ドラマ化】結婚相手は抽選で - 垣谷美雨

結婚相手は抽選で (双葉文庫)作者: 垣谷美雨出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2014/06/12メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 少子化対策のため「抽選見合い結婚法」が施行されることになった。相手が気に入らない場合は断ることができるが、三回パスし…

【仕事小説】この世にたやすい仕事はない - 津村記久子

この世にたやすい仕事はない (新潮文庫)作者: 津村記久子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/11/28メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」ストレスに耐えかね前職を去った私のふざけた質問…

【書評】グロテスク 下 - 桐野夏生

グロテスク 下 (文春文庫)作者: 桐野夏生出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/09/05メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 22回この商品を含むブログ (124件) を見る 就職先の一流企業でも挫折感を味わった和恵は、夜の女として渋谷の街角に立つようになる。…

【書評】グロテスク 上 - 桐野夏生

グロテスク 上 (文春文庫)作者: 桐野夏生出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/09/05メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 126回この商品を含むブログ (152件) を見る 名門Q女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ…

【痛快!】夫の墓には入りません - 垣谷美雨

夫の墓には入りません (中公文庫)作者: 垣谷美雨出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2019/01/22メディア: 文庫この商品を含むブログを見る ある晩、夫が急死。これで嫁を卒業できると思いきや、舅姑や謎の女が思惑を抱えて次々押し寄せる。〝愛人〟への送…

この地上において私たちを満足させるもの - 乙川優三郎

この地上において私たちを満足させるもの作者: 乙川優三郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/12/21メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 戦後の房総半島からヨーロッパ、アジア、そして日本で。そこでは灰色の人生も輝き、沸々と命が燃えていた。…

【変態小説?】シンセミア(上) - 阿部和重

シンセミア(上) (講談社文庫)作者: 阿部和重出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/05/15メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る 神町。この片田舎の町では暴発寸前の欲望が渦巻いていた。伊藤整文学賞、毎日出版文化賞をダブル受賞した、興奮必至…