日々是書評

書評初心者ですが、宜しくお願いします ^^

【あなたの価値観を裏返す】東京貧困女子 - 中村淳彦

総評

テレビやネットニュースでしばしば、「若者の貧困」と言った特集が組まれる。世間の反応は往々にして厳しい。

「家賃が高すぎる」「携帯代が高すぎる」「交際費はもっと減らせる」等々。

残念ながら、かつての自分もそういった反応に同調的だったかもしれない。

東京貧困女子にもそのような女性が登場する。

本書の冒頭で、とある女子大生が登場する。彼女は部活の費用を払うために、風俗で働くことを選択する。

自分はその心理が理解できずに驚いた。部活を継続するために、「体を売る」仕事に従事する…?

でも、本書を読み進めるうちに、自分にかけられた呪いが解かれていく。

自分はそんな心理なんて理解できなくても良い。

ただ現実として、部活を継続するために風俗で働く人間が、この世にはいる。そして彼女たちは意にそぐわない労働をすることなく、理想の人生を叶えて然るべき。それが世の中のあるべき姿なのだと。

マクロ的なレベルで、本書は自分の価値観を裏返してくれた。

自分はいつからこんな負の感情に囚われていたのだろう。一体いつから、他人の貧困を責めるような癖がついてしまったんだろう。

長い年月をかけて自分の意識に染み付いた、他責感情が溶けていった。

僕らが目指すべきは、好きなことを好きなだけできる世の中。そんな経済的な豊かさを達成するべき。

互いが互いの生活を非難するような風潮のなんと貧しいことか。そして自分もまた、無意識的とは言え、そんな風潮に囚われていた。そのことを決定的に気づかせてくれたから、「東京貧困女子」に出会えて良かった。自分もまたこの本によってある意味では救われたのだと思う。

自分にできることを、少しずつやっていこう。

各論

ここからは章ごとの感想やメモ書きを。

第1章 人生にピリオドを打ちたい

大学の学費を払うために風俗、というのは理解できる。でも部活の諸経費が払えなくてキツいというのが、自分の感覚として理解が難しかった。部活は良い思い出になるし、やめろと言いたくないけど、部費のために風俗、というのが価値観が違いすぎた。 けれど、ここで部活をなんの苦もなくできる、というのがあるべき社会なのだろうなと、一周回って気付かされた思い。

↑の女子大生へのインタビューが東洋経済新オンラインに掲載され、炎上した 筆者は炎上コメントの差出人は経済的に恵まれた人だと分析。いや、きっと彼らもまた貧困の中にいるのだ、と僕は思ってしまった。

ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学ダニエル・カーネマン「感情的幸福は年収九百万円まで収入に比例して増える」

娘の奨学金を自分のために使って、娘に借金である奨学金を負わせて平気な父親がクズすぎて泣けた

第2章 母には一生会いたくない

内定を蹴ってAV女優になる心理について。 そうか、卒業時に奨学金という名の借金が600万円もあるんだよなぁ。そこでプロダクションから、借金の半分だけでも稼いで楽になりましょうとスカウトされる。 業界はその年齢の女性の事情を知り尽くしているという。 女性が夜の仕事を始める年齢として、22歳が1番多いらしい。

夜の仕事を辞めてなんとか非正規の仕事にありついた。でも、給料が少なすぎる。そして昼の世界に居場所がない、というのがつらすぎる。

大学を退学して、生活保護を受けている若い女性のインタビュー。 生活保護を受ける直前に万引で捕まったという。 「自分は洗濯物を取り込んでいたつもりだった。どうして知らない人に怒られているのかなって不思議だったけど、それは店の商品だったみたいです」 境遇によって、人によって、こういうふうに世界が見えることもあるのか。

第3章 明日、一緒に死のう。死ぬから……

日本の子どもの貧困率」によると、7人に一人は貧困状態。これはOECD加盟国の中でワースト10。一人親の場合、一位となる。 貧困家庭の親は、子どもの未来につながる教育より、明日明後日の自分のことにお金を使いたい。 無料低額宿泊所というものがあるのか。第二種社会福祉施設。知らなかった。 お金が無くてスマホを売る、という過去がサラッと紹介される。そうか、そこまで追い詰められる人がいるのか。 3章の最後、西野さんの話か辛すぎて救いがない。

第4章 あと1年半しか仕事ができない

公務員というと安定しているイメージだけど、地方自治体の非正規職は、生活保護と同程度の賃金しか得られなかったりする。

第5章 45歳、仕事に応募する資格すらありません

「生きているだけで死にそう」という言葉にヒヤリとした。 車が必要な場所に住んでいるのに、車所有を理由に生活保護を断られるの、酷すぎる うつ病の増加数は1999年から2014年でおよそ67万人。(厚労省調べ)

第6章 子どもの未来が消えていく

貧困家庭は「ひとり親」「病気」「子どもが多人数」「三世代同居」 今現在、重たい障害を持ったひとり親が親で居続けることは難しい。サポートがほとんどなく、子どもは施設に入れなさい、となってしまう現実がある。

今回紹介した本