レビュー
ああ、面白かった。こんな面白い本を読まずに過ごしていたなんて…! 上巻から下巻まで一気読みだった。こんなにも一瞬で読んだ三部作は初めてかもしれない。
まず何より、悪鬼のホラー描写がなんとも秀逸。 それは超能力の強さとか、描写の上手さもあると思うんだけど、愧死機構という設定が非常にいい味を出している。 中巻からの伏線も良い。一度、過去の出来事として描いておいて、それから「まさか現代に現れてしまうなんて…!」的な展開。構成の勝利。
そんな悪鬼を打ち倒すシーンは、少年ジャンプ的というか、ちょっとしたアクションのようでもあった。 SFにホラーにアクション…多ジャンルを詰め込む作者の力量に感服。
最後の最後で、非常にグロテスクで欺瞞的な世界の真相が明かされる。その上で我々に問いを投げかけてくる感じ。 決して爽やかな勧善懲悪ではなく、課題を与えられたような読後感。これが良い。 まさに「新世界より」渡されたバトンを、現代の我々がどうしていくか。
上巻の感想で、この小説のテイストがジュブナイル小説であると書いた。 でも、この読後感をもって更に、若い子たちにこそ是非読んでほしいという思いを強めた。そういった意味でもジュブナイル小説だった。
星評価
★★★★★
本日レビューした本
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